当時大枚はたいてマイコンを買ったはいいものの、ぶっちゃけ何をどうすればどうなるのか理解出来ずに床の間の飾りにしてしまったお父さん方も多いと思われます。ちなみにウチの親父もそうでした。
そんな中、「ゲームセンターあらし」で大ヒットを飛ばしたすがやみつる先生の名著「こんにちはマイコン」をはじめとした入門書も多数刊行されまして、簡単なゲームプログラムを作成するサンプルとして「ジャンケン」を題材として取り上げた書籍も多かったと記憶しております。
さて、そんなマイコンブームと共にオタクカルチャーも現在以上に盛り上がったものでした。「早坂未紀の世界」さんの「1980年代の資料」に詳しく取り上げられていますが、1980年代のオタクムーブメントは、物凄い熱気を放っておりました。
この時期辺りから「マイコンを使ってアニメのキャラクターを表示させる」というのが一部で盛り上がっておりまして、わたくしの記憶している限りではリン・ミンメイやミンキーモモ、クラリスやラムちゃん等が人気キャラクターでしたね。
そして「ジャンケンプログラム」「CG技術」の2点が合致した時、日本で初めての記念すべき「アダルトゲーム」が発売される事になりました。
その中でも「槙村ただし」「望月かつみ」「武市好浩」の三氏は一躍人気アダルトゲーム開発者として一世を風靡しました。今回はその三氏に付いて取り上げようと思います。
■槙村ただし氏(現在ペンネームはどろんぱ)
■野球拳
九十九電機から発売された記念すべきアダルトソフト第一弾。(光栄の「ナイトライフ」は除く)簡単なジャンケンゲームと描画機能だけで作れる「野球拳」というゲームは誰でも思いつくはずなんですが、実際に開発されたのは素晴らしいです。ちなみに九十九電機の版権料は買い取りの5万円のみらしいのですが…いくら何でも安過ぎです。槙村せんせいもお人好しというか世間知らずというか。

■マリちゃん危機一髪
大ヒットした「野球拳」の第2弾。作者の槇村せんせいがエニックスから「野球拳のような物を作ってくれ」と依頼され、「同じようなものを作ってもなあ…」とアイデアを捻って開発されたのが本作。


「野球拳」と差別化を図ったのはいいのですが、「マリちゃんを狙って包丁を持って突進して来るストーカーを刺し殺せ」とか「巨大な乾電池に繋がれたマリちゃんを助けろ」というブッ飛んだ発想は、一体どこから沸いて来たのでしょうか。
しかもマリちゃんのモデルは槇村せんせいの姪御さん。(テープに収録された音声もマリちゃん本人)…ちょっと鬼畜が過ぎやしませんか、槙村せんせい。

■女子寮パニック
厳格な女子寮に住むロムちゃんに夜這いする為に30分しか電池の持たない懐中電灯を片手に女子寮に忍び込む主人公。

ガードマンやオカマ・犬といったオジャマキャラの妨害を掻い潜って愛しのロムちゃんに君は会えるかな?とったゲーム内容ですが、どう考えてもオカマは女子寮に住めないと思います。

ガードマンを部屋から去らせる為にリアルで5分待たなければならなかったり、鍵穴を覗いた瞬間に尖ったエンピツで目を突かれたりする破天荒さもさる事ながら、女子寮に行く前に道路の左右確認をしないと車に轢かれて一発ゲームオーバーという凄まじいゲームバランスは、当時のゲームというのを差し引いても相当に無茶でした。

■エルドラド伝奇
「オホーツクに消ゆ」に次ぐ記念すべき「コマンド選択式」アドベンチャーゲーム。それまでの作品と比べてゲーム性とシナリオが格段に進歩しました。

とはいうものの「女子寮パニック」から受け継がれた陰険なトラップは健在でして、途中セーブが出来ないのに1章の最後で「アキラのテープ」を持っていないと強制ゲームオーバーというのは伝説になったほどです。ちなみに解法は「アキラのビデオテープを再生して砂嵐になった画面のまま数分放置する」でした。こんなん気付くか。
■魔浄理子・淫靡扉(インビゾーン)
このゲームは未プレイのため、詳細は不明。ファミコン・スーファミで傑作アクションゲームを多々リリースしたナツメの作品らしいのですが、一部情報によると開発部署が違うそうな。雰囲気から推察するに、ファミコンの「東方見聞録」と並ぶナツメの黒歴史ゲームの臭いがプンプンするのですが。
■望月かつみ氏(現在ペンネームは「もちつきかつみ」)
■ロリータ・シンドローム
児童向け学習まんがの大ベテランとして現在も活躍されている望月かつみせんせいの記念すべき弟一作。

実はわたくし、望月せんせいの描かれる丸っこくて可愛らしい女の子が凄く好きでして、学習まんがも何冊か持っております。


本作に登場する女の子がどう見ても年齢一桁の幼女にしか見えないのは大変危険だと思うのですが、真に危険なのはそのゲーム内容。
「手術台に拘束された幼女が回転ノコで切断される前に救出しよう!」「少女が縛り付けられてる!上手くナイフを投げて服を切り落とそう!」という、可愛らしい絵柄とは裏腹にショッキングで残酷な内容(しかもゲーム内容は運頼みの福引ゲーム)は、当時の純真なプレイヤーを大いにドン引かせました。


■マイ・ロリータ
「ロリータ・シンドローム」はPSKの「ロリータ」と並ぶヒットを飛ばしたものの、その過激すぎる内容にエニックスが続編の発売を拒否。おかげで続編の「ロリータ・シンドローム2」はあわやお蔵入りかと思われたのですが、光栄が救いの手を差し伸べてくれました。

肝心のゲーム内容は「便秘の幼女に浣腸」「幼女の卵子を摘出してクローン人間を作る」という危険過ぎるもので、エロ度ではなく不謹慎やグロ方面にパワーアップした本作は望月かつみせんせいによると「ロリータ・シンドロームより売れなかった」(「蘇るPC-8801伝説」のインタビューより)との事ですが、そりゃ当然だと思います。

当時の雑誌の評価もこんな感じでした。明らかに当時でもキワモノ扱いなのが見て取れますね。

ちなみに、「マイ・ロリータ」の雑誌広告に掲載されたキャッチコピーとパッケージが余りにも面白すぎたので、特別に掲載しておきます。


■武市好浩氏(現在は医療従事者との事です)
■ロリータ・野球拳
当時大ブレイク中だった吾妻ひでお氏の絵柄をリスペクトした可愛らしい絵柄は当時としては出色の出来でした。

余り早く脱がせすぎると警察に逮捕されたりするなどヘンテコなギミックもあり。少女なのにケバケバしい下着は時代を感じさせますね。

ブラを取った後の最後の一枚になると異常にコンピュータが強くなると思うんですがいかがでしょうか。おかげで何十回チャレンジしてもぱんつが剥ぎ取れませんでした。

■ロリータII・下校チェイス
雑誌広告では「ファンタジック?アドベンチャー」と紹介されていますが、「町中にいる警官を避けながら袋小路に少女を追い詰めて、ロープやハンマーを駆使してレイプする」というのはどういうファンタジックアドベンチャーでしょうか。

一作目とは打って変わって犯罪臭プンプンの問題作なんですが、ゲーム画面は基本的にテキストのみ。迷路状に入り組んだ町を移動する為には方眼紙でのマッピングが必須。
このソフトと「ロリータ・シンドローム」の大ヒットのおかげで、当時のマイコンユーザーは「根暗なロリコン野郎」というレッテルを貼られてしまい大変苦労したものです。
■ALICE
ご存知「不思議の国のアリス」をモチーフにしたコマンド入力式アドベンチャーゲーム。最初のシーンで「RAPE ALICE」「RAPE BUNNY」と入力した人はわたくし以外にも多数おられると思うのですが、いかがでしょうか。
なお、「RAPE BUNNY」を実行すると「最初ぐらいは真面目にしましょう」というお叱りメッセージと共にゲームオーバーになります。



ちなみにMZ-2000ユーザーのわたくしは、当時マイクロキャビン版「不思議の国のアリス」をうっかり間違えて買ってしまい、エロとは無縁な健全なテキストアドベンチャーな内容に本気で泣いた思い出があります。


■ファイナル・ロリータ
「ロリータ」シリーズ最終作。何も考えずに町を俳諧すると絶対クリア出来ないと評されるほどのキツいゲームバランスは「詰め将棋」と揶揄されたほどでした。


特にラスボス八重垣静香とのエロテクニック勝負の難易度は壮絶の一言で、清楚で幼いルックスとは裏腹の超絶フェラテクに何度瞬殺された事か。

実は攻略サイトさんによりますと「初期パラメータ配分を間違えた」時点で「詰む」そうです。
それでも攻略したいという真性マゾ、もしくはロリコンのひとは、以下のサイトを参考にしてみて下さい。
Chaser のジャンクヤード
外道増太さんのファイナルロリータ攻略ページ(ご訪問&コメントありがとうございました!)
■スカポン探検隊
PSKブランドでのゲーム最終作。それまでの「暗くてビョーキ」イメージを一新したおちゃらけSFアドベンチャーでしたが、ユーザーの受けはいまいちだったようです。

やはりユーザーがPSK、しかも武市氏の作品に期待したものは「ロリータ」シリーズの淫靡でダークな雰囲気のものだったんでしょうね。
ちなみにわたくし、このゲームは最初の画面で躓いて以来全く先に進めませんでした。とほほ。
●あとがき
さて、今回の特集いかがだったでしょうか。思い入れの深さとは裏腹に資料入手と整理に莫大な時間と労力を費やしてしまい、ブログ立ち上げ以来の難産エントリーでした。
色んな意味でおおらかだった時代のマイコンゲームの雰囲気を少しでも感じ取って頂ければ幸いです。
■参考文献
蘇るPC-8801伝説(アスキー)・完全保存版アダルト・ソフト大全集PART2(笠倉出版社)・アソコンすうぱあスペシャル1美少女ゲーム最前線(アソコン・ブックス)・MZ-700ジョイフル・パック(学研)
それでは最後に、ハドソンソフトからMZ-700専用に発売された「野球拳」のめぐみちゃんの大胆ヌードを掲載して本エントリーを締めくくりたいと思います。

…PC-8801やFM-7に比べてシェアで劣っていたMZシリーズの敗因は、案外こんなところにあるのかも知れませんね。


