
その昔、狂ったように家庭用ロムを買い漁った廃人時代を懐かしく思いつつ、今回は大好きだったサムライスピリッツシリーズについて語りたいと思います。
■サムライスピリッツ
記念すべきシリーズ一作目。それまでのSNK作品に見受けられたグラフィックの泥臭さは感じられず、システム・グラフィック・サウンド共に非常に洗練されているのは素晴らしいと思います。

それまで「バーニングファイト」やら「戦国伝承」やらのクソゲーを作っていたメーカーとは思えず、開発チームのセンスと力量が光る内容は、ネオジオというハードの牽引に大いに貢献致しました。

クセのあるコマンド入力判定や攻撃・喰らい判定のバランスに一部難がありますが、それを差し引いても名作と呼べる内容でしょう。

怒りゲージの状態によって、同キャラ対戦時の不知火幻庵の見分けがつかなくなるのは勘弁して欲しいところでしたが。
■真サムライスピリッツ-覇王丸地獄変-
満を持して発売されたシリーズ第2弾。発売された時期が1994年という、どのメーカーの対戦格闘ゲームも難易度が発狂していた時代の作品らしく、CPUの強さは壮絶の一言。

超反応でスカシ投げやダッシュ投げを平然と行って来ます。特筆すべきはラスボス「羅将神ミヅキ」の桁外れの強さでして、まともにプレイしていては絶対勝てないレベルにまで到達しておりました。

スタッフによるファンサービスが過剰に盛り込まれ過ぎているのも評価の分かれる所でして、コマンド入力による世界観ブチ壊しの「ぬいぐるみ変化」や特定キャラクター同士のカップリングを強調してみたりするストーリー展開、狙い過ぎのキャラクター「チャムチャム」やエンディングでお亡くなりになってしまうナコルルは一部プレイヤーの反感を買いまくりました。
ちなみにロムカセットの過剰供給によって、「ワールドヒーローズ2」と並んで店頭での発売価格が早期に大暴落した作品としても有名でして、予約してまで定価29800円のロムカセットを新品で購入したユーザーは血の涙を流し、当時SNK本社があった江坂方面へ呪いの念を送ったものです。(まあ、わたくしの事なんですが)
■サムライスピリッツ-斬紅郎無双剣-
「餓狼伝説3」「KOF'96」「龍虎の拳外伝」と並んで「SNKの対戦格闘は3作目で必ずコケる」という嫌なジンクスを作ってしまったシリーズ3作目。

ほぼ全キャラクターに永久コンボ・即死コンボが発見されているという時点で、格闘ゲームとしてのクオリティは大体推察して頂けると思います。ていうかこれ、間違いなくバランス調整してないでしょ?
緩急の付きすぎたカメラワークとキャラクター動作の詰め処理の極端さも凄まじく、攻撃を喰らった時のスローモーションと相まって三半規管が大いに刺激される事請け合いです。ちなみに荒いドットなのに漫画の書き文字風で統一された勝利メッセージは、読み辛い事この上無しでした。

…しかし、しかしですよ。2Dでのシリーズ最終作「天下一剣客伝」にまで流用されたほどの完成されたキャラクターグラフィックや、緻密で美しい背景、更なる進化を遂げた音楽など、各々の素材は大変素晴らしいと思うのです。事実、開発スタッフが本作に注いだ狂気じみた情熱は痛いほどに伝わって来ますので。
ただ、ゲームシステムが致命的にアレだったのが問題だった訳で。
この「開発者の狂気じみた愛情」がゲーム全体に溢れている作品は、他機種だとメガドライブのアクションシューティング「エイリアンソルジャー」がそれにあたると思いますが、個人的に凄く好きだったりします。黒子ステージBGMの素晴らしさや、個別エンディング→スタッフロールへの展開はシリーズ随一と言っていい程の素晴らしさでして、未体験の方は是非とも。

■サムライスピリッツ-天草光臨-
前作の破綻っぷりと、シリーズ屈指の黒歴史RPG「真説サムライスピリッツ武士道烈伝」に痛く反省したらしく、ゲーム内容をチューニングして発売されたシリーズ第4弾。
それまでのシリーズが持っていたクセが無くなり、今遊んでも普通に面白いゲームになっております。
対戦格闘ゲームの流行が連続技主体になった事に影響を受けて連続技の概念を強調した事と、倒した相手を惨殺する「断末奥義」の存在がセールスポイントですが、後者のおかげで陰鬱な世界観ばかりが際立ってしまうようになりました。

蛇足のように余計なシステムを組み込んでゲームの面白さを損なうのがSNK対戦格闘のお家芸なんですが、その問題点は本作でもバッチリ継承されており、CPU戦は規定時間内(それもかなり無茶な短時間)にクリアしないと問答無用でバッドエンドというイカれたシステムがゲーム自体の面白さをものの見事に損なっております。

恐らく営業サイドからの要請で盛り込まれた仕様なんでしょうが、個人的には余計な事をしやがってという気持ちで一杯ですね。
ちなみにエンディングはしんみりした曲にスタッフロールが流れるだけという手抜きぶり。凝りに凝ったエンディングが売りのシリーズだったのに、一体何があったんでしょうかね。
■サムライスピリッツ零
前作の「天草光臨」より7年を経て、わざわざネオジオでサムスピシリーズの新作がプレイ出来るという事実に多くのネオジオユーザーは歓喜したのですが、新作という割に過去タイトル素材の流用が余りにも多く、「これで本当に新作なのかよ」「ただのコピペゲーじゃん」という批判も少なからずありました。
グラフィックも流用部分は正直見劣りする部分も多く、花諷院骸羅と萬三九六の顔グラフィックは相当にヤバい臭いがプンプンしております。


しかし、丁寧に作られたCPU戦の演出は、しっかりとしたストーリーに裏打ちされた安定感溢れるものであり、なかなかに好感が持てる作りになっております。徳川慶寅以外の新キャラは全員欝エンドというのはどうかと思いましたが。
■サムライスピリッツ零SPECIAL
「零」の発売からわずか1年でリリースされた「ネオジオハードでのシリーズ最終作」。かつてのボスキャラ4人がプレイヤーキャラとして使用出来るのと対戦バランスを調整しただけと思いきや、「絶命奥義」が更なるグレードアップという、悪趣味かつ意味不明のパワーアップが図られました。

その内容たるや完全に18禁レベルでして、可憐な少女の生首を撥ね飛ばしたり身体を4分割しちゃマズいだろうに。

家庭用ネオジオロム発売の際に予告無しに付け焼刃の自主規制をかけたおかげで、予約してまで購入したユーザーの怒りが大爆発。抗議の署名が大量に集まる騒ぎにまで発展してしまいました。
SNKプレイモア側の対応は中途半端な修正版に交換するというものでしたが、後に本体を改造する事によってアーケード版と同じ残虐表現を再現する事が可能となる事が知れ渡り、ヤフーオークションが一時期パニック状態になりました。(1円出品した後の取り消し多数)
この一連の騒動によって、14年に渡るネオジオの歴史がグダグダで終わってしまった感があり、はがゆい事この上無しでした。
■サムライスピリッツ 天下一剣客伝
開発ハードをアトミスウェイブに変更して新たなスタートを切った2D格闘路線の(一応)最終作品。シリーズを重ねる毎に陰鬱な雰囲気だけが強調された流れに終止符を打ち、カラリとした世界観になったのは賢明な判断だったと思います。
キャラクター別のエンディングも全てハッピーエンドになったおかげで、「零」で悲惨な最期を迎えたミナも感動的なエンディングに変更されました。

声優陣の変更と場違いなBGMは評価の分かれる所でしたが、普通に長く遊べる名作だと思います。チャムチャムといろはの「ぱんつはいてない」コンビはちょっとアレかと思いましたが。


■侍魂(ハイパーネオジオ64版)
■侍魂2-アスラ斬魔伝-(ハイパーネオジオ64版)
北千里氏による水墨画タッチのイラストと演出は神がかっていたのですが…慢性的に発生する処理落ち・雑なバランスに代表されるように、3D対戦格闘ゲームとしての出来は残念の一言。
BGMが静かな曲調だったりテンション低めなせいで、ただでさえ盛り上がりに欠けるゲーム内容が余計に寂しい印象を与えてくれやがるのは困り物でした。

個人的には寂れたゲームショップにポツンと置かれた専用筐体で夕暮れにプレイして、寂寥感に包まれた思い出しかありません。
繰り返しますが、2D絡みの演出は素晴らしいので「サムライスピリッツ閃」は、ここの部分を発展・継承した内容になってくれると嬉しいなと思います。
■まとめ
現在合法的な手段で遊ぶならば、ストーリーモードの充実した「サムライスピリッツ 天下一剣客伝」の購入がベストでしょうね。入手難易度・価格も含めて。
ロムカセットが捨て値の「無印」「真」「紅」の激安3本をネオジオ本体と一緒に購入するというのもアリでしょう。ネオジオCD版は…ご周知の通り、読み込み時間の長さに間違いなく耐えられないと思いますので、ナシという事で。
しかし、資料を整理していて思い出したのですが、「天下一剣客伝」のデモ画面でネオジオ歴代のサムスピシリーズを紹介するんですが、「零SPECIAL」が完全に無かった事にされていたのには涙を禁じえませんでした。
ちなみにアニメ化も何度かされましたが、どれもこれも黒歴史なので忘れてしまって構いません。

特に「破天降魔の章」は、サムスピシリーズにとっても、香取慎吾さんにとっても。


