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2007-12-15 00:45 | カテゴリ:ゲーム
マイコンブーム創成期の1983年から1987年の約4年間、古参のマイコンユーザーにその名を知らしめたソフトハウスがありました。

そのメーカーの名は「PSK」。「パソコンショップ高知」の略なんですが、そこから発売された「ロリータ」シリーズは当時からは考えられないほど緻密なグラフィックで可憐な少女を描いており、多くのマイコン少年達を虜にしたものです。

しかしライバルメーカーの追い上げによって、アダルトメーカーのトップだったPSKも、かつての輝きを失いつつありました。

そんなPSKが活動停止する直前の1987年に、一つのゲームソフトがひっそりと発売されました。そのソフト名は「ザ・病院」。



ゲーム内容はアドベンチャーゲームというジャンルが豊富なグラフィック+コマンド選択制に移行しつつあった1987年という時代に発売された「テキストアドベンチャー」。

テキストアドベンチャーという言葉がご存知無い方の為に補足しておきますと、それは読んで字の如く「画面に表示されるのは文字のみ」という大変硬派なものでした。今で言う「サウンドノベル」の原型みたいなもの、と言えば少しはご理解頂けますでしょうか。

ここでピンと来た方もおられるでしょうが、エロゲーメーカーの出すゲームなのにエログラフィックは基本的に皆無・画面に表示されるのはテキストが殆どという時点で、本作の特異性が解ると思います。

ストーリーも「猛狂病院に勤務する看護婦「松田郁子」は、自分が勤める病院内で患者が次々と死亡してしまう事に疑問を抱く。そして、ある日病院の端末を好奇心で操作していた彼女は、偶然にも病院内で行われている異常な臨床治験の実態を知ってしまう。その後、新聞記者である主人公は突然行方不明になってしまった彼女を探すべく、唯一の手がかりである血染めのキャッシュカードを手に猛狂病院を探索するのだが…」という大変硬派なもので、それまでの同社作品のカラーからは全く違った内容でした。



ゲームの難易度も「プレイヤーによる手書きマッピング」無しでは迷子になる事必至。それだけではなく「女物の服を着る」「仮眠している女医にイタズラをする」「屋上から飛び降りる」等の一般常識から外れた行動を取るだけでゲームオーバー、2階の突き当たりに存在する「低温実験室」に入ると、それだけでゲームオーバーなんてのは可愛いものでして、


「女子トイレにある尿瓶を蹴飛ばす」「売店にある腐った牛乳を飲む」「薬剤部調剤室にある錠剤を飲む」という行動で即死はしないものの、後々クリア不可能になるという大変陰険なトラップがこれでもかという程に盛り込まれている超難度。(とは言え、当時のゲームなんて大体こんな難易度でしたけどね)

攻略のコツは、コツコツマッピングをしながら何度もトライ&エラーを繰り返す事でしょう。コツを掴む事によって、それまで入れなかった部屋に侵入していく快感は本作独特のもの。

そしてゲームを進めていく事によって徐々に解き明かされる猛狂病院の暗部は、入手した文献や病院関係者の口から伝えられる「現実に起きた生々しい医療事故の実例」のエピソードが持つリアリティと相まって、背筋が寒くなるほどのものでした。
(※医学書からスキャンしたと思われるグログロしい取り込み画像も本作では多数出て来ますが、余りに内容がキツいので画像の紹介は割愛させて頂きます)


極めてオーソドックスな形でしっかり作られたテキストアドベンチャーゲームでしたが、専門誌での紹介も極めて少なく、現在でも同社の「ロリータ」シリーズ等と比べて語られる事もほとんど無しという状態から察して頂けると思いますが、正直この「ザ・病院」は売り上げも芳しく無く、ユーザーの評価も微妙でした。

本作がここまで不評だった原因は、わたくしが考えるに以下の3点に集約されるのではないでしょうか。

■「ロリータ」ゲームで一時代を築いたPSKのブランドイメージにそぐわないゲームだった

■ストーリー展開・演出がまずく、世界観の統一がされていない

■骨太のアドベンチャーゲームが席巻する時代に、いささか時代遅れな内容だった


第一の理由は置いておくとしても、まず登場人物に対する描写が圧倒的に不足しているせいで、プレイヤーが感情移入出来ないのはどうかと思いました。「行方不明になった彼女」を捜索し「猛狂病院の悪事を告発する」というハードなテーマの割に、ゲーム中のメッセージやグラフィックがおちゃらけすぎているのも問題だと思います。

そして、「行方不明になった彼女」に関する情報を調べる初期段階から「こりゃ間違いなく殺されているだろう」とイメージさせてしまうシナリオ構成のまずさ。本作のラスト付近で「主人公が地下の病理解剖室に駆け付けた時には既に遅く、はらわたも脳も取り出されていた」という衝撃的かつグロテスクなシーンも予定調和に感じられてしまうのは明らかに失敗だっと言えるでしょう。

「彼女が病院のどこかに幽閉されていて、今でも助けを待っている」という一縷の希望すら見出せないのでは、プレイヤーのモチベーションの維持は難しかったのでは無いのでしょうか。

増してや「猛狂病院の悪事を暴く」に関しては、クリアしても病院関係者の処断について殆ど触れる事もなく、済し崩し的にエンディングに突入してしまう有様。場違いで能天気なエンディング曲と共に始まる開発者の愚痴にも等しいメッセージは、プレイヤーの徒労感を増幅させるだけで達成感とは程遠いものだったと思います。

せめて「医学に群がる寄生虫たちを告発する社会派アドベンチャー」「内輪ネタてんこ盛りのおちゃらけアドベンチャー」の2本立てであれば、評価もまた違ったと個人的には思うのですが。

とは言え、現役の医療関係者の手による内部告発アドベンチャーというジャンルは大変斬新なものであり、開発者の藤戸健司せんせいにはいつか本作をリメイクして頂きたいと思っているのですが…歴史に埋没させるには余りにも惜しい出来のゲームだと思っておりますので。

個人的には「ファイナルロリータ」の続編を作って欲しいのですけど、いかがでしょうか武市好浩せんせい。





「最後の幻想」という和訳の「ファイナルファンタジー」もあれだけの続編を出しているのですから、「2」と言わずバンバン続編を出して欲しいものです。

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