そのゲームの名は「ドラゴンズ・レア」。

レーザーディスクによって供給されるアニメーション映像をゲームに採用した本作は、それまでのハード技術では成し得なかったグラフィック描写と「アニメのキャラクターを実際に操作・干渉出来る」という斬新さで一躍ヒットを遂げました。
その斬新な内容は海外を中心に熱狂的なファンを獲得し、数年前にはプレステ2で遊べる移植版まで発売された程です。
この「ドラゴンズ・レア」、現在ではファミコン版のクソゲーっぷりだけが語られがちなのですが、アーケード版のゲーム性をファミコンに移植しようとなるとああする他に方法が無かったと思うのです。個人的はファミコン版の雰囲気・世界観は評価してますよ。ゲームとして面白いかどうかは置いておきまして。
ちなみにLDゲームのエミュレーター「Daphne」は、このドラゴンズ・レアの囚われの姫「ダフネ姫」の名称から取ったんですね。(豆ちしき)

さて、売れたジャンルはパクるのがゲーム業界の宿命、という訳ではありませんが、1983年にはセガから特撮映像を使った「アストロンベルト」、タイトーからは実際のレース映像を使った「レーザーグランプリ」等が発売されました。


どちらも特撮や実写映像の作品だった為、日本のアニメーション技術を生かしたLDゲームはなかなか発売されず、後に何タイトルか発売された事はされたのですが、データイーストの「幻魔大戦」タイトーの「宇宙戦艦ヤマト」セガの「光速電神アルベガス」などなど、既存アニメの映像を流用したしょっぱいゲームが殆どでした。
しかし、その翌年の1984年にデータイーストより完全オリジナルアニメを使用した「サンダーストーム」、翌年の1985年には「ロードブラスター」が発売、1985年にはタイトーより「タイムギャル」が発売されました。
そこで今回は、個人的に大変思い入れの深い「ロードブラスター」「タイムギャル」、そしてLDゲームの大問題作「クリフハンガー」について語ってみたいと思います。(サンダーストームは字数の都合で割愛しました。ファンの方すみません)
■ロードブラスター
モーターテクノロジーの発達により凶悪化していった暴走族達と対抗する為に政府は『SCP』(Spechal Car Police)を組織するが、暴走族側もそれに対抗し統一組織『RRR』を結成し、抗争は激化する中で車体番号000を持つ赤いモンスターマシンを駆り、『SCP』の中で『RRR』に最も恐れられていた男がいた。
一度狙いを定めたターゲットは絶対に逃がさず仕留める為、暴走族達は彼の事を“オオカミの化身”と呼んでいた。しかし、その彼に悲劇が舞い降りた。新婚旅行中に彼の車は『RRR』の一団に襲撃を喰らい、崖の上から突き落とされる。奇跡的に助かった彼の隣には最愛の妻の面影はなかった……。
彼女を失った悲しみが彼の心に復讐という名の炎が燃え上がる。復讐の牙を研ぎ澄ましたモンスターマシンが唸りを上げる。獲物──最愛の妻を殺した緑髪の女が率いる暴走族──を求めて、男とモンスターマシンの復讐のドラマに火が放たれた!(wikiより抜粋)
「マッドマックス」と「北斗の拳」を足して二で割ったような荒廃した世界観は後に「ダブルドラゴン」で大ヒットを飛ばした岸本良久氏の面目躍如といったところでしょうか。本作の素晴らしいところは、集客デモで流されるとてつもなく熱いオープニングムービーから遺憾無く発揮されております。



唸り狂うギターサウンドと共に主人公が復讐へと至る経緯が本編の名シーンを織り交ぜて流麗に紹介されるさまは、一度見た者をプレイに導くのに十二分なインパクトを持っておりました。
海岸・市街地・山岳地帯・農場、果ては下水道の中というステージ構成の多彩さもさる事ながら、主人公の操るインターセプターのアクションの豊富さとカッコ良さは元ネタの映画「マッドマックス」を超えたと言っても過言ではないでしょう。
プレイ中も熱いサウンドがピッタリとシンクロした展開であり、尚且つ構成が各ステージのラストでクライマックスになるように計算され尽くされている為に、その爽快感と一体感は本作独自のものでして、特にステージ4・6の展開は鳥肌ものです。
本ゲームのクライマックスであるラストステージで主人公のインターセプターは大破、族の車を乗っ取ってラスボスとの一騎討ちに勝利したものの、最愛の妻は返って来ない悲しみと空しさから形見のエンゲージリングを握り締める満身創痍の主人公の姿は、煌びやかな夜景とのギャップとも相まって大変印象的なエンディングだと思います。







このラストシーンの切なさが、本作を更に印象深い作品へと昇華させていると思うのですがいかがでしょうか。
■タイムギャル
未来の大悪党・ルーダがタイムマシンを強奪して過去の世界へ逃亡、歴史保安警察の「タイムギャル」レイカがその過去の時代にさかのぼり、追跡するという設定。
ゲーム内容は、各時代でのアクシデント(降って来る隕石、無差別に攻撃してくる恐竜など)への対処として画面上に表示される指示に従ってタイミングよくレバー、または、ボタンを操作したり、あるいは、選択肢を的確に選んで進めていくというもの。他のLDゲームの多くと同様に、シーン毎に必要な操作は固定されている。
プレイヤーは、4方向レバーとボタン(ブラスター/タイムストップ/選択)を使ってレイカを操作する。(wikiより抜粋)
同社より前年に発売された「忍者ハヤテ」が、中途半端に「ドラゴンズ・レア」の画風を真似した画風のせいなのか、斜め入力がプレイヤーの反感を買ったのか、姫のツラが微妙だったのか、ハヤテのアゴが割れていたせいなのかは知りませんが、正直大したヒットは飛ばせませんでした。
これに開発スタッフが反省したのか、次回作の「タイムギャル」は当時のプレイヤーの大多数である純粋な青少年に的を絞ってド直球のストレートをぶちかましてくれやがりました。
明るくお茶目な性格で、サラサラのロングヘアーに愛くるしいフェイス。尚且つ衣装が大胆なハイレグビキニというお姿のレイカさんは、当時のゲーム少年のみならずアニメファンまでも虜にし、タイムギャルの純正アップライト筐体には、常に人だかりが出来たほどです。


ちなみに今ほどヨゴレじゃなかった当時の純真なわたくしはプレイするのに相当な勇気を必要としたものでした。
「うる星やつら」のラムちゃんと「ダーティペア」のユリと「ドリームハンター麗夢」の麗夢を足して3で割ったようなルックスのレイカさんは、当時のアニメファンに大変な衝撃を与えました。

ちなみに作画監督・キャラクターデザインは美少女キャラクターと緻密でダイナミックなアクション描写で80年代中期にマニアから絶大な支持を受けた毛利和昭氏。
そう言えば「ドリームハンター麗夢」も氏の代表作の一つでしたね。


本作は操作ミスした時のコミカルなリアクションも話題になっており、特に原始時代の恐竜に追いかけられるシーンでわざとミスした時のシーンは余りにも有名でした。「いやーん、エッチィ!」


■クリフハンガー
海外のクソゲーメーカー・STERN ELECTRONICSより1983年に発売されたLDゲーム。発売は基本的に海外のみでしたが、日本でもごく少数入荷したみたいです。(歌舞伎町のゲームセンターでプレイした人もいたとか)
これがまあ、LDゲーム界の黒歴史といいますか、相当にカルトな出来ですので紹介させて頂きます。

タイトルからスタローン主演の山岳アクション映画を連想する方も多いと思いますが、それとは全く無関係。
では何かと申しますと、「ルパン三世 ルパンVS複製人間」と「ルパン三世 カリオストロの城」の映像を適当に繋ぎ合わせたLDゲームでして、その詐欺臭い難易度と映像編集の杜撰さが物凄い不協和音を奏でているというとんでもないゲームでした。
ちなみに登場キャラクターの名前も全て変更されている為、主人公はルパンではなく「クリフ君」という訳のわからないモノになってしまいました。誰だよクリフって。
アニメーションは元ソースからのものに「ジャ〜ンプ!」とか「オーノー!」と適当なセリフを被せているだけという手抜きっぷりから映像ソースを無断使用した臭いがプンプンするのですが、タイトル画面を見る限り東京ムービー新社(現トムス・エンタテイメント)の許諾は取っているみたいなのが驚きですね。この「最高の素材を使用して最低の料理を作る」STERNのダメコックぶりは別の意味で必見。
ゲームの冒頭は「カリオストロの城」のイントロと同じく、カジノの札束を強奪して次元と一緒に脱出するシーンから始まるのですが、最初のハードルを飛びそこなっただけで謎の大爆発の後にクリフ君は哀れにも絞首刑に処せられてしまいます。




ミスシーン映像が絞首刑のみという手抜き極まりない作りの為、クラリスを追って車のアクセルを踏み込むというさほど緊迫したシーンでなくても容赦なく「爆発→絞首刑」になってしまうシュールさは別の意味で必見です。
ちなみに「このシーンではレバーを右に入れろ」等のアクションに関してのヒントは皆無の為、難易度もべらぼうに高く(この辺は「ドラゴンズ・レア」と同じ)、中盤ステージ以降は絞首刑シーンの雨あられになってしまい、プレイヤーの気分もゲンナリする事請け合いでした。
余談になりますが、宮崎駿氏が「自分の手掛けた作品がゲーム化する事を極端に嫌っている」という噂があるのですが、元凶は、MSXのクソゲー「忘れじのナウシカ・ゲーム」よりも「クリフハンガー」が要因だったんではないかと邪推してしまうのはわたくしだけでしょうか。
■あとがき
さて、いかがだったでしょうか。当時の熱気が伝われば何よりなのですが…。既に過去の遺物となってしまったLDゲームですが、「ロードブラスター」のようなシンクロ感溢れるゲームや、「タイムギャル」のような健康的なお色気溢れるゲームを今の技術でリメイクして欲しいという微かな希望を抱きつつ、本エントリーを締め括りたいと思います。
…え?「クリフハンガー」?
あれはもう、歴史の闇に埋もれたままで構いません。


