wikipediaによると、「新しくゲームハードを立ち上げる際に、同時に発売されるゲームソフト」という言葉ですが、ファミコンは「マリオブラザーズ」「ドンキーコング」、PCエンジンは「R-TYPE 1」、スーパーファミコンは「スーパーマリオワールド」と本体の売上げに貢献するべく良質なソフトが供給されていました。
しかし、19年前にセガから発売されたメガドライブのローンチタイトルは「おそ松くん はちゃめちゃ劇場」という、タイトルを聞いただけで地雷の臭いがプンプンしており、当時本体を購入したわたくしの友達は全員おそ松くんをスルーするというエスパーぶりを発揮したほどです。
いとうせいこうの出演するテレビCMで連呼された「ビジュアルショック!スピードショック!サウンドショック!」という掛け声も虚しく、その全てが低レベルという凄まじい出来で、ついでにゲーム内容も絶望的にショッキングな低レベルさでした。

ソフトを起動した時にタイトル画面で流れるアニメ主題歌「正調・おそ松節」も「哀調・お粗末節」と呼ぶにふさわしい陰気な音色で、うっかり購入してしまった哀れなユーザーを失意のドン底へ叩き込むのに十分すぎる出来映えでした。嫌々スタートボタンを押すと体力満タンなのに泣き顔のおそ松くんが旅立ちますが、泣きたいのはこっちだよと突っ込みたくなるのはわたくしだけでしょうか。

ゲーム内容も当時のセガマークIII後期からの「どうせ俺たちゃ窓際部署さ、ゲームなんざこんなんでいいんだよ」という適当っぷりが前面に滲み出しており、正直遊んでいて気持ちがどんどん暗く沈んでいきます。
イヤミ顔の蟹やチビ太顔の猿をパチンコでチクチク攻撃すると「ズゴ・ズゴ・バフー」という頭に突き刺さる嫌がらせとしか思えない効果音が鳴り響き、正直ここで電源を切りたい衝動にかられます。

「一面ボスの「エンマイヤミ」は背後に回り込んでねずみ花火を使うんだっけか」とプレイしながら思い出しかけている自分自身に、正直腹が立ちました。
当時メガドライブは何ヶ月に一本しかソフトが発売されず、うっかり買ってしまったクソゲーを仕方なく何ヶ月も遊ぶしかないという拷問プレイを当時のメガドライバーたちは全員体験しているのですから。

この長い冬の時代の後、ハード末期には同じ本体とは思えないほど傑作ソフトが続出したのですが時すでに遅し。世間様はスーパーファミコンの大ブーム時代を迎えていたのでした。もちろんわたくしはそれでもメガドラソフトを買い続けていたんですけどね。ゲームに対するねじくれた価値観は、主にこの頃に培われた気がしてなりません。



なお、この問題作「おそ松くん」ですが、発売からしばらくした後にゲームの出来に激怒した原作者の赤塚不二夫せんせいがセガに乗り込んで担当者に灰皿を投げ付けたという都市伝説があるんですが、ゲーム本編よりもこのエピソードの方がよっぽど面白いと思うのはわたくしだけでしょうか。


