みなさまは福満しげゆき先生についてご存知でしょうか。その独特な作風から、決して知名度は高くないものの、濃密でリアル・かつ不可思議で繊細な画風と独特の世界観で一部好事家から熱烈に支持される漫画家さんです。
特に単行本「僕の小規模な失敗」は福満しげゆき先生の漫画家デビューに至るまでのエッセイ漫画なんですが、わたくしは本書の1話「バンドやろうぜ!の巻」を
読み終えたと同時に凄まじい既視感とやるせなさに襲われました。
【「僕の小規模な失敗」1話のあらすじ】勉強の苦手な主人公(福満しげゆき)は、何とか工業高校に滑り込みますが、学校というより職業訓練校といった授業内容と不良ばかりのクラスメートに絶望した主人公は、行き詰った現状を打破すべく漫画を描く事に打ち込みます。(バンドを組む友達も才能も無いためという理由がまた悲しい)
授業も周囲の人間関係も視界に入れず一心不乱に漫画を描くのですが、
応募結果はことごとく惨敗。しかも高校は一年生の時点で留年し、クラスメートが恋愛などで青春を謳歌する中、
主人公だけが学歴・友達・恋愛・夢の全てを失った状態に追い込まれます。

何という閉塞感と絶望感。フィクションだったら笑い飛ばせるほどの悲惨な展開なんですが、本書はエッセイ漫画。少年ジャンプ等のメジャー漫画では体験出来ない強烈なインパクトは、その独特な画風と相まって決して大多数に評価される作品ではないのでしょうが、
本作は一部の読者の絶大な共感を得る事に成功しました。それは、
「自分の夢に向かって努力して夢破れた人と、半端に夢を実現したものの現実で報われない人」だと思うのです。
私事で恐縮ですが、福満先生自身である主人公の「現状を打破しようと努力するも、全てが裏目に出るやるせなさ」と「浮き草稼業を目指す自分の将来への漠然とした不安感」「常に周囲の人間とのコミュニケーションが上手くいかない自分の疎外感と苛立ち、それに伴い肥大する心の暗部」の描写は秀逸で、
わたくしも福満しげゆき先生と似たような人生を送ってきた事もあり、ここまでシンクロ率の高いエッセイ漫画も久しぶりでした。

「ぼくの小規模な生活」の中で、手っ取り早く漫画で糊口を凌ぐ為にエロ漫画を描いて持ち込みするも悉く不採用、やっと連載に漕ぎ着けたものの
アンケートの結果が悪く5回で打ち切りといった悲惨なエピソードがあるんですが、最新単行本「やっぱり心の旅だよ」に収録されているんですが…すみません、福満しげゆき先生の実力を甘く見ておりました。
「これが福満しげゆきの失敗エロまんが道」という
失礼極まりないオビとは裏腹に、柔らかくセクシーな女性の描写はかなりのものです。
エロとは無縁な西岸良平テイストの混じった牧歌的な絵柄がここまで魅力的とは思いませんでした。



色白・黒髪の清楚で美しい女性の描写は素晴らしいものの、
ストーリーはいつもの福満テイスト全開で正直実用には耐えられないとは思いますが。

未だに漫画の収入だけで生計を立てられないという生々しいエピソードは正直笑えませんので、是非とも福満しげみつ先生にはブレイクして欲しいものですね。
先生と似たような人生を歩んだファンとしての切実な願いです。
先月のことですが、朝ごはんを食べに立ち寄った喫茶店にSNK・東亜プラン・DYNAX共同開発の「雀王」が置いてあったのにはびっくりしました。
マスターの話では「もう動かないからねえ」との事でしたが、だったら基板を頂けないかと画策していたのですが、先日再び尋ねにいったところ
「この前捨てた」との事でした。
ああああ、何てもったいない…仕方なくモーニングセットを注文して、暇潰しの漫画を物色していると原秀則せんせいの「部屋(うち)においでよ」を発見しました。

爽やかな表紙が実は罠わたくしが普段行き着けの喫茶店に置いてある漫画は
ジョージ秋山せんせいの問題作「ギャラ」が置いてあり、
食事のお供に全く不向きという毒ラインナップだったりするので、この店では毒気の少ないラブコメでも読もうかなと思って読む事に致しました。
※「ギャラ」…「銭ゲバ」の蒲郡風太郎にそっくりな風貌の少年「アザミ」と謎の美少女「紅子」が主人公の名作ピカレスクロマン。その醜い風貌ゆえに誰からも愛されない気弱な少年・アザミに言い寄る謎の美少女「紅子」。厳格な父に毎日のように虐げられるアザミは、ある日父親を殺してしまうが、紅子と口裏を合わせて事件を隠蔽してしまう。共犯関係になったアザミと紅子は、この世で一番価値のある「金」を集める為に学校中の人間を脅迫してまわるが…という内容。プレミア漫画ゆえ入手は困難ですが面白いですよ。
話が大幅にそれてしまいましたが、「部屋においでよ」は1995年にTBS系列でドラマ化、のちに台湾でドラマ化したという人気作品です。…すみません。
漫画の存在もドラマの存在も全く知りませんでした。相変わらず漫画に関してはアンテナが腐っているもので。
ええと、ここまで読んで下さった方々に警告しておきます。
ここから豪快なネタバレをやらかしますので、原作やドラマを未見の方は見ない方がいいですよ。飲み屋で意気投合した水沢文(あや)と塩村ミキオは、お酒の勢いで一夜を共にしてしまう。文の部屋に通い同棲するミキオは、日に日に愛し合う関係になる。お互いカメラマンとピアニストという仕事への夢を持ち、夢を実現すべく努力していくラブコメディといった内容なんですが、原秀則せんせいの漫画は「さよなら三角」しか知らなかったわたくしは
原秀則ワールドを甘く見ておりました。
その後、原秀則せんせいの作品を何作品か読み漁ってみたのですが、そこに共通するのは「思いつきで展開がコロコロ変わる」「広げた風呂敷を畳み切れずに終わる」という
悪癖とも言っていいストーリー構成に尽きると思うのです。特に
「シーソーゲーム」の支離滅裂なストーリー展開や「やったろうじゃん!」のレイプシーンがトラウマになった読者さんも多く、
「姦ったろうじゃん!」と今でも揶揄される始末。
話は「部屋においでよ」に戻りますが、
初々しい通い同棲のラブコメ要素は最初の時だけで、中盤からお互いの夢を追いかけるが故のすれ違いや、
元カレに偶然出会い、同情心から体を重ねる文のエピソードまでは
飯がまずくなるほどの強烈な鬱展開まっしぐら。3巻あたりまではミキオと文の明るいラブラブカップル(死語)ぶりが微笑ましかったのですが、お互いの気持ちがすれ違いだしてからは
作画もどんどん暗い作風にトランスフォームしてくれやがる始末。
微笑ましいですねお互いの夢が実現しかけるにつれ、多忙になるがゆえにすれ違う二人というのは解るんですが、文さんの心理描写が不足気味な事もあり「なぜ今の部屋にこだわるのか」「何故お互いの夢が適おうとしているのに不安なのか」が説明し切れていない為、どんどん
理解出来ないイタい女性に変化していくさまは見ていていたたまれなさ全開でした。
ストーリーの救われなさの相乗効果のせいでしょうか、最終回間近の文さんのお顔は、初期の頃と比べて
明らかに精神を病んでいるようにしか見えないほどでした。
こっち見んな同棲をテーマにした漫画は同ジャンルの草分け的存在の
「同棲時代」の頃から破滅的なラストを迎える事が多いのですが、「部屋においでよ」も御多分に漏れず、結局二人の心はすれ違ったまま住み慣れた部屋を引き払って別々の町に分かれてしまい、ラストシーンのコマは無人の部屋がぽつんと残るだけになりました。


ある意味リアルで等身大のドラマなのかも知れませんが、
現実に掃いて捨てるほどある同棲カップルの別れをわざわざ漫画で見たくないわいと思うのはわたくしだけでしょうか。しかも最終巻辺りのミキオの自己中ぶりは特筆モノで、延々とモノローグで愛が冷めた事に対する自己弁護の鬱陶しさとライバルキャラ・サブヒロインのフェードアウトっぷりは、
まさに原秀則ワールドの真骨頂。その冷淡ぶりは、さまざまな恋愛漫画の中でも
トップクラスの鬼畜っぷりです。ここでひとつ疑問なんですが、
こんな救いの無い話を二度もドラマ化する理由が今でもさっぱり理解出来ないのですが。どなたかご教授頂ければ幸いです。
先日、コンビニコミック版「大市民」シリーズを見かけ、2冊ほど買ったんですが、これが非常に面白い。
連載当時バブルに浮かれていた日本人の下品さを嘆くダンディな小説家・山形鐘一郎の日々を描写してるんですが、毒舌エッセイと男の手料理・ビールに対する愛を語るさまが誠に痛快です。
こんなにビールを美味そうに飲む漫画は、本作と「
賭博破戒録カイジ」ぐらいしか知りません。

ただ、コンビニコミック版は収録話数が飛びまくりでエピソードもブツ切り状態なのには参りました。
そこでamazonやヤフオクで全巻セットを何とか手に入れようとしてみたのですが、どれもこれもまとまった物はプレミア値段でがっくり。

結局、どうしても全巻読みたい誘惑には勝てずに全巻セットを購入してしまいました。
今日一日かけて全巻を読み終えたんですが、
粗製屋乱造斎と自称する柳沢きみおせんせいだけあって、話が終わりの方へ近付くと絵も話もどんどん乱暴になってくるあたりは「青き炎」「DINO」の頃から
全く変わっていませんね。「大市民」も中盤までは楽しく読めていたんですが、1巻で馴染みの旅館主人から愛娘の真子ちゃんの里親になり、東京生活での保護者役になったまでは良かったんですが、付き合い始めた男が典型的なバブリー大学生なのにケチを付け、挙句の果てに
新興宗教にどっぷりハマった彼女をほったらかしにするのはいかがなものかと。
ビフォー
アフターわたくしも中年と呼ばれる歳になり、山形鐘一郎せんせいの提唱する「孤高のダンディズム」は共感出来る部分も多いんですが、読み進めていくうちに「これって、自分の好き嫌いや政治思想を後付けの理屈で正論っぽく誤魔化しているだけじゃないの?」と
一番気付いてはならない部分に気付いてしまいました。単行本1巻の発売時点(1992年)で45歳だった山形鐘一郎せんせいも、
今年でめでたく還暦なんですが、この世代にありがちな「お上批判をしていればいっぱしの文化人」「テレビゲームとインターネット・携帯電話は無条件で悪」といったありがち過ぎる
団塊世代のロジックをデフォルトで持っているあたりがちょっぴり痛いです柳沢山形せんせい。デジタルデバイドの超えられない壁といいますか、彼の愛して病まないクラッシックカーもパソコンも同じで、
それを凶器にするのも人生の友にするのもユーザーの匙加減ひとつな筈なんですが。
昨今の若者の政治に対する意識の低さを嘆く姿も本編中に度々登場するのですが、2ちゃんねるマスコミ板・ニュース速報+・ハングル板住民や政治カテゴリの人気ブロガーさん達の政治に関する知識量と洞察力は、少なくともそこいらの団塊オヤジを凌駕するものがありますよ。
朝日新聞の内容を鵜呑みにするオジサン達よりも
「主婦・無職・団体職員」の肩書きで読者欄に投稿してくる人たちをgoogle検索して化けの皮を剥がして晒し者にしている2ちゃんねらーの方がメディアリテラシーに長けているはずですから。
どんどん人相が悪くなってきてます「THE 大市民」の最終巻の方では、あれほど愛していたビールに対する愛情も薄れ、愚痴ばかりが増えてしまって正直パワーダウンが否めない本作ですが、「大市民シリーズをライフワークにしたい」と仰られている柳沢きみおせんせいには頑張って頂きたいところであります。
あと、宗教にハマって帰らぬ人になってしまった真子ちゃんを更正してあげて下さい。
あのままでは不憫すぎます。
時々何もかもどうでも良くなる時ってありますよね。
何をやっても楽しくなかったり、ただひたすら不安になってみたりする日が。
そういう時にわたくしが数え切れない程読みかえす本が、吾妻ひでおせんせいの「失踪日記」と花輪和一せんせいの「刑務所の中」なんですが、今回は吾妻ひでおせんせいの作品について語ってみたいと思います。


とは言え、わたくしが吾妻せんせいにハマッたのは「ミャアちゃん官能写真集」と「魔ジョニア・いぶ」の頃ですので、筋金入りのアズマニアの方々からすればヒヨッ子同然ですが。
「魔ジョニア・いぶ」は吾妻せんせい自身がギャグの自己模倣に悩んでいた時期で現在でも評価は他の作品に比べて余り高くない印象を受けるのですが、わたくし個人としては
当時は大変お世話になった記憶しかございません。
しかし、1984年頃の吾妻せんせいの絵は神懸りとも言える可愛らしさで、今でも十分即戦力になると思うのですが、いかがでしょうか。

話を戻しますが、「失踪日記」は吾妻せんせい本来の持ち味であるSFパロディ・ナンセンスギャグ色を控えめにした実話エッセイ物なんですが、鬱病・失踪・アル中と壮絶な転落人生を描いている割に悲壮感が余り感じられないのが凄いと思います。
むしろサバイバル本としての面白さの方が勝っているというか。
わたくしも月収6万円の頃は大概の貧乏生活をしたもんですが、最近心身ともに弛んで来ていると思うので
無職になった暁にはこの本をバイブルにして頑張ろうと思います。さて、「失踪日記」本編でアル中時代の絵が相当ヤバいという事でしたが


確かにこれはひどい。吾妻せんせいには、これからもお体に気をつけて頑張って頂きたいと思います。
わたくし、オタク歴は長い方だと思うんですが、年齢を重ねるごとに
オタクアンテナが錆び付いてきたように思えてなりません。
特にアニメ・漫画関係のアンテナは
もうボロボロで、新規に面白い漫画を発掘するという情熱が完全に消えうせつつあります。
そんな中、お友達のガス男くんが発見した古本屋。わたくしたちはその古本屋を尊敬を込めて
ザ・ワールドと呼んでおります。
何が凄いかって、
明らかに15年くらい時が止まっているかのような聖地っぷり長年探していたサライネスせんせいの「水玉生活」が美品で置いてあったり

ものたりぬせんせいの「新・鬼が島」「これもん!アイドル」上下巻
ほとんど在庫の変動がないまま、静かに時を重ねたとしか思えないラインナップに心がときめきます
最近の漫画のムーブメントにめっきり疎くなってしまったわたくしを見かねたもう一人の友達、げきくんが良くオススメ漫画を貸してくれるんですが、これが非常にありがたい。
彼の貸してくれた漫画は

シグルイ

げんしけん
…ええと、「シグルイ」は楽しく読めました。
「げんしけん」は読み始めの頃こそ「平成版「究極超人あ〜る」だね」とか
スノッブぶっていたんですがイヤな奴ですね深く読み進めるうちに、登場人物と同じ歳のころのわたくし自身を思い出し、
軽く欝になりました「げんしけん」の次に貸してくれたのが
「NHKにようこそ!」
これはキツいひきこもりの主人公が社会復帰を目指そうと足掻くんですが、巻を進めるごとにメインキャラクターのほぼ全てが
洒落にならない位心を病んでいる事に気付きましたアニメ化もされてるみたいですが、
すみません、正直理解できません終盤で話が破綻したエヴァの香りもプンプンしてましたが、
見えない未来
心を病んだ人間同士の葛藤劇
どこまでも破滅に向かっていくストーリーどこかで感じたデジャヴを思い出しました
こりゃ平成版「同棲時代」ですよ
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